2008.09.21 Sunday
振り返る女
夏も終わりかけのころ
そうではなくて、もう秋に入っていたころかもしれない
数人で車に分乗しバンガローとまりのキャンプに行ったときのことだ
事前の準備もしっかりとはできてなくて
途中で、食料も買出しをしてと
まぁ・・思いつきではじめたキャンプだった。
それでもなんとか、その日の晩飯にはありついたころ
日が暮れるとともに
寒さが染みとおるようになってきた
キャンプ場の情報を前もって見ておけば予測できたことだったけど
仕事に追われた隙間で
急に決めた計画だからだれもそこには頭が回っていなかった
仕方なくというわけでもないが
勢い
持って行ったお酒を飲みながらという風になった
順番によいが回り
寒さをしのぐようにしてバンガローの隅で寝る人が出てきた
ふとふと気がつくと
入社のときから気になってる子が残ってた
どうすると聞くと
ここでは、寝れないから車のキーを貸してと
どうするの
と聞くと
車の中で休むからと
駐車場が少し離れていたこともあって、
じゃそこまで送ろうかと
送っていく途中
問わず語りに始まった彼女の心の葛藤
つい最近ふられたばかりの苦しみ
その理由の理不尽さ
ぽろぽろと出てくる心のほころび
なんとかしてあげたい気持ちを
がふっと
彼女の肩をだいていた
そして
唇を重ね
そういえば
彼女のことを振り返る女って
聞いたことがあったよなぁ
こうやって
彼女
これまでの自分を振り返ることがおおいのかなと
それから・・
それからのことはあまり言いたくない
振り返る女って
実は
フリ変える女だってわかったのは
2カ月くらい後
そうフリ変えられた
だものなぁ・・
2007.08.12 Sunday
春過ぎて
ハルすぎて
ナツきたるらし
白塗りの
ここのホステス
まぁかわりゆく
ハルっていう子がきたなぁと思ったら、ナツって子に代わって・・。ここのホステスさんはみんな白塗りしてるけど、どんどん変わっていくんだなぁ・・。
2007.05.06 Sunday
10年ぶりの再会4
彼への思いがちょっとだけ揺らいだとき。だよね、僕が遅くまで残ってる君をみつけたのは。
あれは、たまたまそうだった・・。のかも知れない。
そういえば、僕が書くスタッフの構成案を点検して遅くなった日だったよね。
普段なら僕がいないはずの時間だったかな・・。
話し掛けてきたのは英一のことだったよね。
ほんとあの時は彼のこと危ない奴だって言っちゃって、怒るだろうなぁ・・今聞いたら。
それは、さっき話したからもういいよね。
それからだよね。
ちょうど僕がスタッフ間の調整に入る時期でもあったので、時々遅くまで残ってると君がいて。
君が来るころまで僕も残ってるようになっていった。
いつだったか、君には熊次郎君がいて、彼のことが好きだって言ってくれたけど、同時に行き詰まってることも教えてくれた。
僕は、彼のことで悩んでるきみを励ましながらも、君と一緒に話をしている時間がとっても楽しく思えてきた。
遅い目のみんなが帰ったあとの時間に二人きりで話をしてたこともあったね。
でも、いつしか講義が終わると真っ先に駆けつけて、その日の出来事を勢い良く話し始める君を見つめてた。
なんかね本とに楽しかったんだ。
まっすぐに駆けて来てくれているっていう感じがしてさ。
夜は二人で演劇論さ、時々、物まねなんかもしたりしてね。
君の門限ギリギリまで話してた。
でも、そのときでも君の心と君の耳の半分は彼の声を聞いていたんだよね。
ずっと。
そのことに気づいてないのは僕だけ。
僕だけが、君がずっと僕の話を聞いてくれていると思っていた。
間抜けだったよね。思い込みだったんだよね
はは、いまさら君を攻める気もないさ
あれは二つのことが上手い具合に重なったのだから
僕の思い込みと
君が僕を傷つけないようとの配慮とが重なっていた。
あとは、君の寂しさかな・・
彼に気遣うあまりに英一を遠ざけた君は隙間を埋める話相手が必要だった。
そのあたりがうまくかみ合ってあの時間が生まれた。
そう考えないと
あるべきところにものが治まっては行かないよね。
だから、独白の稽古を付き合ったのも演劇論、俳優論を話し合ったのも。
そして、疲れた君が僕に寄り添ってうたたねしたのだって
この三つの間でおきたことで、どれ一つかけても起きやしなかった。
そこまで冷静に見つめると、それはそれで
むなしいながらも仕方がないのかなって。
思うしかないじゃんね
ミスリードでありミスディレクションなんだから。
(続く)
2007.04.29 Sunday
10年目の再会・・・3
君にとって、一番大きな位置をしめてたのがこの熊次郎君。
だよね。
本とに大きな位置を占めていた。
でも、不思議と実像が浮かんでこないんだなぁ。僕があまり話をしなかったというのもあるけど君からきいた熊次郎君の話も、君の思いはしっかりとしているのに、何故か彼の姿が見えてこない。不思議だった。ある人にとって、とても大きな存在になってる人って、話をしているうちに輪郭が見えてくるものなんだけど、その輪郭がなかなか見えてこなかった。よぉく考えると不思議ではなくて、その輪郭が見えてこないことが個性・・。
変な言い方かもしれないけどね。
僕は、そう考えるとすっきりと見えてくるんだ、彼は相手の望む世界を敏感に感じてその世界を見せてくれる。話をあわせるのとはちょっと違うんだ。一緒に夢を見てくれるって言ったほうがいいかな。一緒の夢を作ってくれる。
だから、彼の周りにはいつもたくさんの人がいて、いつもにぎやかだったでしょう。
そっけないように見えてもちゃんとツボを抑えてマメだし、適度におどけたりするし、何よりも聞き上手。
そして、ごく自然に話している相手との距離をとり、一緒にいる世界を作り出す。
作為じゃないんだよねそれは、彼にとっては性みたいなもの。
ところがそれが曲者で、彼にとってはそれを楽しんでる半面そのことで悩んだりしてる。
そこが君との共通点さ。
おなじように、相手との距離をはかり、相手の望む関係を作り出し手いける。君もそういうところがあってそのことに悩んでた。違ってるかな・・。
僕にはそんな風に見えたけどね。
根っこは、傷つき傷つけるのを恐れる気持ち。
ぶつかり合うと心がきしむから、ぶつかり合うのを避ける気持ち。
だれだって好き好んで傷ついたりはしない、できれば傷つけあうのは避けていきたい。
でも、それは、自分の大事にしたいこととの折り合いをつけて生きてる。
でも、君は自分の大切にしたいことだって時には横においても人とのぶつかり合いを避けていきたいって思うところがある。
だからでしょ、岐路に立つととたんに慎重になってしまうのは
人を傷つけ自分が傷つくかもしれない時、何度も逡巡し、できれば他の人が他の人の手で解決して欲しいと思うのは。
言い過ぎたかな
君と熊次郎君の間にどんな話があったのかはわからない、たぶん二人にとっては、いつもの仮面をかぶった関係でもあり本心をさらけ出したときでもあった。普段は誰にも言わないことまでもね。
それは、まだ本格的に役作りをする前の段階、役作りをし、回りに他のキャストさんがそろう前のこと。
もしかしたらキャスティングが決まる前かもしれないね。
それがいつだったかは、今となってはどうでもいいことかも知れないね。
でも二人の中に、共通の秘密を持ったと思えたんじゃないのかな。
それが君の中では大切な出来事だった。
その思いが君の中ではとても大きな存在だった。
だから、彼の実像とか彼の日常とか、そういうのはずっと後ろに下がってて。
いつも君の心の中にあったのは
彼が自分にだけ見せたと思える姿。
だよね
それが支えだったのだもの。
僕らの作ろうとした劇は難しいものだったんだよ
主役である二人は、直接言葉を交わすことなどほとんどなく
それぞれに、独自の世界でかかわりを持ちながら
影の声として聞こえる彼と君の声が聞こえてきたときに
わずかに他の人に悟られぬように反応し、互いの心の絆を表現する。
難しいでしょう
簡単にできるわけないじゃない
でもそれにあえて挑戦したのは
君たち二人の実際がそこにあったから。
でもさ。
話をしなくても
お互いにわかりあってるじゃないって、そう思ったのが
すれ違いの始まりだったんでしょう。
だから、君は信じたくても信じきれない彼への思いのストレスを感じはじめた。
かれは言わなくてもわかっとるはず・・。
このすれ違いが
あの日につながったんじゃないの。
(続く)
2007.04.22 Sunday
10年目の再会・・・2
あの日、君は僕を待っていたかのように話し掛けてきて相談ごとがあると言った。ちょっと思いつめた雰囲気に圧されるようにして、僕は君の話を聴くことにした。
他のキャストさんとの相性というか気持ちのすれ違いって言うことだったよね。初めのうちは。
かなり思いつめた表情を見せる君をみて、これはなんとか解決しないと、今度の公演が飛んじまうなぁと思ったものさ。僕が君を意識したのはあのときが最初さ。
役柄としての君は見てたけど、人としての君を意識したのはあのときがはじめて。
でもなぁ・・
あの思いつめた表情が・・。演技とは言わないけど、ある意味ではあのときだけのものだったってのは、実際のとこまいったよなぁ。
むきにならなくてもいいよ、そう君の言うとおりさ、君はそのときの気持ちを素直に表現していた。それは確かさ。でなければ、僕の心が簡単にうごくわけはないよ。
まぁいいや。話を進めようか。英一といったけ。彼のことだよね悩んでたのは。それにしても英一には悪いことしたなぁ・・。君の言葉を鵜呑みにしてしまって、僕はしばらくのあいだ奴のことをストーカーまがいの奴だと信じてたもの。
おかげで、微妙な溝が出来てたよ。まぁキャストさんたちとは、いつでも微妙なずれを感じても気にしないほうだったから、実際の練習の中ではあまり問題にもならんかったけどね。
幸いなのは、僕が他のスタッフやキャストに何もいわなかったことかなぁ。
あれで、僕もあちこちで話をしてたら英一の奴は、完全に孤立しちゃっただろうしなぁ。
あれって、君が仕組んだことだよね。
仕組んだことっていうのは穏やかじゃないけど、そうなっても仕方のない状況を作り出したのはっていったほうがいいのかな。違いは、意識してやったかどうかの違い・・だと思うけど。
英一が彼が君を追いかけたくなるような状況を作ってしまったのは。だよね。
でも、すんなりと英一を受け入れる気持ちにもなれないところで、こいつに出会った。
な、そだろう、熊次郎君。
ははいいじゃん、熊次郎で、この際名前なんて、識別できればそれでいいじゃない。
熊次郎君と出会うまでの英一は君にとってなかなか都合のいい話相手だったんだ。
少々頼りないところがあったり、ちょっと強引だったり、そのくせ淋しがりで、思い入れがつよく、常に自分を見てて欲しい。君との共通点もいくつかあるけど、その共通点があるから、他の人の前では見せない顔をも見せることが出来てた。
だからだよね。時には英一の存在を小うるさく感じても完全には切りきれなかったのは。
だって、他の人とは、切れても英一とは切れない。それは彼が大事な人だとか言うんじゃないんだ。一種の同族意識・・かな。君にとっては英一の時折見せる暴走さえ抑えれれば、話をしてても悪い相手ではない。
まぁ少々わがままで、ストレスに弱いから、その分疲れてるときには相手をしたくはなかったんだろうけどね。
まぁ、こうなるには多少時間がかかったみたいだから、僕に相談にきたときはまだまだ、そうなる以前のころだから、本とに君が困っていたのも確か、その上で、完全には解決できないだろうと予感していたのも確か。
じゃなかったかな。
熊次郎君の出現で英一の位置をどこに落ち着けるのか、それを英一にどう納得させるのか、こんなところだったかなって。
なぁに、これは今だから言えることだよ。当時は、みんな真剣に悩んでた、それは確かさ。でも一方で真剣に悩んでいたからすべてが仕方がなかった、それでいいんだって。そんな風に片付けてしまっていいかどうかは別さ。
でないと、次が見えちゃこないさ。
(続く)